事例41:気分障害(40代・男性)
疾患名 | 気分障害 |
年代・性別 | 40代・男性 |
経過・症状 | 約15年前、新たな職場に就職するも、そこの上司から人格を否定するような叱責を受け、休日出勤も強いられるようになった。職場では常に緊張状態を強いられ、次第に朝起きられない、体が鉛のように重いなどの症状が出て、3ヵ月ほどで退職を余儀なくされた。退職後も頭痛や不眠にも悩まされたことから、A医院を受診。うつ病と診断され、眠剤や安定剤等を処方された。徐々に回復し、再就職もできるまでになった。そこは職場の雰囲気もよく、最初のうちは何とか頑張れていたが、次第に頭痛や不眠、希死念慮等の症状が出始め、体が思うように動かなくなった。働き始めて1年が経過する頃には、簡単な事務作業も出来なくなり退職。その後は両親の元で静養することとし、B医院に転院。しかし、その後も不眠や頭痛、気力の低下があり、一方で、些細なことでイライラしたり、ネットショッピングで大量の買い物をするようになった。その後、就労移行支援を受け、再就職を果たすも気力が続かず、また、突然の激痛に襲われ退職を余儀なくされた。現在も不眠、不安、頭痛、意欲の低下などに悩まされ、日常生活のあらゆる場面で家族の声掛けや支援が必要な状態である。 |
請求の過程 | 最初はお父様からご相談を頂きました。初診日が約15年前でありA医院にはカルテが残っておらず、また、B医院(現在も通院中)にA医院からの紹介状はなく、また、診察券などもないのでどうしていいか分からないと仰っていました。受任し、最初に行ったのは、B医院の初診時のカルテにA医院のことが書かれていないかを確認することでした。するとA医院の名称は書かれていなかったものの、「3年ほどうつ病で治療中」との記述があることが分かりました。B医院の初診は平成18年でしたので、その3年前は平成15年、つまり、平成15年1月1日~平成15年12月31日までのいずれかの日に初診日があることが言えます。この間はいずれの日が初診日であっても保険料納付要件は満たしていたのですが、国民年金(第1号被保険者)と厚生年金の期間が混在していました。しかし、本人申立ての初診日が国民年金期間中にありましたので、初診日を示す特別な資料は添付せずに請求に臨みました。 |
結果 | 2級での障害基礎年金の支給決定。 |
寸評 | 今回も初診の医療機関にカルテが残っていない状態での請求でした。“請求の過程”を読んでもイマイチ意味が分からないという方もいるかも知れませんが、今回の請求は下記の通達が根拠になっています。ご参考にされて下さい。
「請求の5年以上前に医療機関が作成した資料(診療録等)に請求者申立ての初診日が記載されている場合には、初診日と認めることができることとする。」 ◎初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱い(指示・依頼)平成27年9月29日、給付指2015-120、年相指2015-76 より |