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事例43:双極性感情障害【社会的治癒が認められた例】(30代・女性)

 疾患名  双極性感情障害
 年代・性別  30代・女性
 経過・症状  高校1年生の頃、気分の落込みや不眠等に悩まされAクリニックを受診。数回受診しただけで症状は改善した。その後大学に進学し、暫くは問題なく生活を送っていたが、家族の引っ越しを機に食欲不振になり再度Aクリニックを受診。医師に話を聞いて貰ったことで気持ちが楽になり、その時は1度だけの受診だったが、その後は日常生活にも学業にも支障はなく、優秀な成績で大学を卒業。国家試験にも合格し、資格を生かしての就職もすることができた。さらにプライベートでは学生時代からお付き合いしていた男性と結婚するなど、公私共に充実した生活を送っていた。しかし、突如大地震が発生し、その直後から業務が激増したことで心身ともに疲れてしまった。パニック発作も起こるようになったことから、再度Aクリニックを受診(厚生年金期間中)。しかし、この時の医師の対応に不信感を覚え、直ぐにBクリニックに転院、パニック障害と診断された。その後も状態は悪化し、Cクリニックへの転院やD病院への入院も経験。現在は夫と別居し、実家で家族のサポートを受けながら暮らしている。家事ができないだけでなく、日常生活のあらゆる場面で家族の声掛けや助けが必要な状態である。
 請求の過程  最初にご相談を受けたとき、初診日はBクリニックと聞いており、初診日はその(ご相談を受けた)時点から5年以内であり、当初はそれ程難しい請求になるとは思っていませんでした。しかし、Bクリニックで取得した受診状況等証明書(以下、受証)にAクリニックのことが書いてあり、さらにAクリニックで取得した受証から、初診日は20歳前(高校生の頃)であることが分かりました。このままでは、請求上も金額的にも不利な障害基礎年金を請求することになってしまいます。そこで詳しくヒアリングしたところ、Aクリニックを受診した大学生の頃から、就職しパニック発作で再度受診するまでの約5年半の期間については特に症状もなく(通院もしておらず)、大学生活及び社会生活を普通に送っていたことが分かりました。請求にあたっては、その当時の写真や大学時代の成績証明書、卒業証書、国家試験の合格証等をご準備頂きました。また、その間の年金記録を見ても空白期間(国民年金期間)が殆どないこと等も指摘し、当該期間中は社会的治癒の状態にあったことを主張しました。
 結果  2級での障害厚生年金の支給決定。
 寸評  当初思っていた初診日が、受証を取得することで違う初診日の存在が判明する(思っていたより前に初診日がある)ことは、障害年金の世界ではよくあることです。今回は初診日が変わったことで、障害厚生年金から(20歳前傷病による)障害基礎年金を請求しなければならない事態になった訳ですから、私も相当に焦りました。そうならない為に(障害基礎年金ではなく障害厚生年金を請求する為に)社会的治癒を主張することになり、私も気合を入れなおして請求に臨んだ訳です。非常に難しい案件でしたが、無事に社会的治癒が認められ、障害厚生年金2級が認められ、私もホッと胸を撫でおろしているところです。請求の過程では、お母さまに当時の写真や大学時代の成績証明書等をご準備いただきました。これらが無ければ、効果的な主張は難しかったと思います。改めまして御礼申し上げます。
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