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事例9:特発性大腿骨骨頭壊死(30代・女性)

 疾患名  特発性大腿骨骨頭壊死
 年代・性別  30代・女性
 経過・症状  約10年前、潰瘍性大腸炎に罹患しステロイド療法を続けていたが、1年を経過する頃から左股関節の痛みを感じるようになった。整形外科を受診するも、関節痛だと診断され湿布を渡されたに過ぎなかった。その後も、股関節の痛みは引かず強くなる一方であった。その後、左股関節に激痛を覚え、別病院の整形外科を受診。大腿骨骨頭壊死と診断され、左大腿骨の回転骨切り術を施行した(人工骨頭は挿入していない)。
 現在も跛行(足を引摺るように歩くこと)が強く、杖が必要であり、歩行が困難な状態である。身体障害者手帳5級。
 請求の過程  この方は当初、ご自分で障害年金の請求をされていましたが、結果は障害認定日および現在共に不支給でした。幣事務所では、審査請求からのお手伝いとなりました。
 まず、提出した診断書等を確認しましたが、その感想として、障害の程度は3級はともかく、障害手当金に該当する可能性は十分あるものと考えました。また、この病気は進行性のものであり、実際に診断書には『治る見込みは不明』『悪化や追加手術の可能性あり』とされていました。審査請求では、障害認定基準から判断して、障害の程度は障害手当金相当であること、症状が固定していない(治らない)こと、この2点を主張して、3級で認定されるべきだ、という主張をしました。
※主張の根拠については、寸評をご参照下さい。
 結果  障害認定日および請求日共に不支給
⇒審査請求にて、障害認定日および請求日共に障害厚生年金3級への処分変更(5年の遡り支給あり)。
 寸評  今回は特発性大腿骨骨頭壊死での審査請求の案件でした。最初にお電話を頂いた時、人工骨頭を挿入していないことや、身体障害者手帳が5級であることから、正直な感想として3級での決定は難しいかも知れないと思いました。しかし、実際に診断書等を見てみると、関節の可動域や日常生活動作の程度から、障害手当金に該当する可能性が高いことが分かりました。日頃の相談の中で、不服申立て(審査請求および再審査請求)をしたいと(他の)社労士に相談して、先に提出をした診断書等を見ずに「審査請求をしても覆らない」とか「不服申立てをやるべきだ」とか言われた、という話を聞くことがあります。しかし、不服申立ては先に提出した書類を基に不服を述べて行きますので、書類を確認しないことにはその可能性を判断することは絶対に出来ません。今回の案件などは、その最たる例です。不服申立てを社労士に依頼しようとお考えの方は、このことは知っておいて頂きたいと思います。
 ところで、障害の程度は障害手当金相当にも関わらず、何故3級で認定されたのか、という疑問をお持ちの方もいるかも知れませんね。これについては、障害認定基準の中のある部分が答えとなりますので、ここに記しておきます。
『「傷病が治らないものについては」、(中略)障害手当金に該当する程度の障害の状態がある場合であっても3級に該当する。』
※国民年金・厚生年金保険障害認定基準3ページより抜粋
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