事例34:うつ病(50代・男性)
疾患名 | うつ病 |
年代・性別 | 50代・男性 |
経過・症状 | 約15年前、仕事上でのトラブルが続き、不眠や不安に悩まされるようになった。思考が停止したような状態になり、考えられないようなミスを犯すことが増え、それが元で人間関係も悪化した。妻の勧めで精神科のAクリニックを受診、うつ病と診断された。その後も不眠や不安といった症状は続いたが、家族を養わなければという思いから、無理をして働いていた。この様な状態が約5年続き、症状は徐々に悪化。3ヵ月の入院を余儀なくされた。 退院後は約10年間、地元の精神科に通院を続けている。近年、症状が安定していたが、約2年前から持病のヘルニアの悪化し休職。それに伴い、気分の落込みや倦怠感といった症状が酷くなり、何をするにも意欲が沸かない。また、人に会いたくないので、通院などの最低限の外出以外は、家の中で無為に過ごしている。 |
請求の過程 | 最初にご相談を頂いた当時、この方は休職中で傷病手当金を受給していました。椎間板ヘルニアとうつ病の2つのご病気をお持ちでしたが、ご依頼者様と話合いの上、うつ病だけでの請求をすることとしました。 初診日が約15年前でカルテが破棄されていたのですが、2番目に受診した病院に、Aクリニックからの紹介状が残っており、これをもって初診日の証明とすることができました。 |
結果 | 3級での障害厚生年金の支給決定。 |
寸評 | 初診日が5年以上前である場合は、その医療機関にカルテが残っていないケースは少なくありません。ですが、今回のように2番目に受診した医療機関に(最初の医療機関からの)紹介状が残っており、かつ、その初診日が書かれていれば、問題なく初診日の証明とすることができます。日頃の相談の中で「もう10年以上前のことなので、カルテはないと思います」とか「次の病院に紹介状も残っていない筈です」とか簡単に仰る方がいますが、何のアプローチもせずに諦めるのはとても勿体ないことです。初診日探しは非常に大変ですが、動いているうちに見つかるケースもあります。諦めるのはいつでもできますので、可能性がある限り頑張って探しましょう。 それと、傷病手当金を受給中に障害厚生年金を受けたら、傷病手当金は返金しなければならないのに、何故こんな請求をしたのかと疑問に思われた方もいるかも知れませんね。傷病手当金と障害厚生年金の調整が行われるのは、あくまでも『同一傷病により』傷病手当金と障害厚生年金を受給する場合であり、今回のように傷病手当金(椎間板ヘルニア)と障害厚生年金(うつ病)が別傷病の場合は調整の対象とはなりません。 |