事例3:前庭神経炎(30代・男性)
疾患名 | 前庭神経炎 |
年代・性別 | 30代・男性 |
経過・症状 | 職場でのパワハラや過重労働により、ストレスや疲労が蓄積していた。突然、浮遊感や激しい吐き気、めまいなどに襲われ病院を受診。頭部CTをするも異常なし。無理して仕事を続けた結果、症状が悪化し入院。退院後も症状は一向に改善せず。歩行には杖が必要だが、それも非常に辛い。めまいが激しい時は杖も使えず、トイレに行く時も這って行くこともある程である。 |
請求の過程 | 障害の程度としては2級相当。しかし、『前庭神経炎』は長くても数か月で治ることが多い病気のため、この病名で認定され得るのかどうかが唯一の不安材料でした。この病名で実際に認定された例を調べましたが、調べた範囲内では見つかりませんでした。そのため、この不安を打ち消すための材料探しをしました。詳しくヒアリングしたところ、通院歴の中に1回だけ検査の為に受診した医療機関が2つあったのですが、その両方でメニエール病の診断がなされいることが分かりました。これらの診断書も添付して請求に臨みました。 |
結果 | 2級での障害厚生年金支給決定。 |
寸評 | 障害年金の診断書には『予後』という欄があります。これは、今後の見通しを記載するものです。現時点の症状がどんなに重くても、ここに”改善する見込みあり”などの記載があれば、認定されない若しくは本来よりも軽く認定される可能性があります。障害年金は、長期的に日常生活や就労に支障があると見込まれる場合のみ、認定がなされるものだからです。今回、『前庭神経炎』という病名が不安材料だと思った理由はここにあります。勿論、(短期間では治らない病気である)メニエール病の診断書を添付しなくても結果は変わらなかったかも知れません。しかし、不安材料があるのであれば、それを打ち消す努力をするのが重要だと私は考えます。(事実に反することや、請求者が望まないことは絶対にやりません) この方の場合、傷病手当金(療養開始から1年6ヵ月を限度に健康保険から支給される給付)を受けている時から障害年金のことは知っており、初診日から1年6ヵ月の経過を待って請求手続きに入れたのは幸いだったと思います。知っていたから請求が出来た訳で、知らないで経済的にも苦しまれている方は沢山いると思います。この制度が広く周知されることを切に望みます。 |