事例13:左下腿切断【原疾患は糖尿病】(40代・男性)
疾患名 | 左下腿切断(原疾患は糖尿病) |
年代・性別 | 40代・男性 |
経過・症状 | 高校生の頃、喉の渇き易さや易疲労を自覚。親族に糖尿病の者がいたこともあり、心配した両親に勧められ病院を受診。検査の結果、糖尿病であることを告げられた。医師からは食事と運動に気を配るように言われ、その後5年程は年1回の経過観察のための受診しかしていない。その後は定期的に通院をし、血糖を下げる薬を処方されていたが、日常生活にも就労にも特に問題はなかった。 初診から約20年が経過した頃から、左足指の腫れに気付き、その後は全身の強い倦怠感や左足の痛みを自覚するようになった。発熱もあったことから病院を受診。糖尿病性の敗血症と診断され、さらに糖尿病による骨髄炎により左足指を2度切断。その後、転倒し左足を骨折したのを機に入院。その治療の途中で右足首にも骨髄炎が発見された。その後も症状は悪化し、左距骨骨髄炎及び足根骨の骨破壊を指摘され、左足を膝下から切断することになった。初診日から既に27年が経過していた。 |
請求の過程 | この方は糖尿病による骨髄炎で左下肢を膝下から切断していました。障害認定基準には「一下肢を足関節以上で欠くもの」を2級とするとありますので、障害の程度は間違いなく2級相当。問題は初診日の証明ができるか否かにありました。当初はご家族の方が頑張って手続きをされていましたが、初診の病院には22歳頃からのカルテしか残っておらず、さらに年金事務所に尋ねても明確な回答が得られず、どうすればいいか分からず非常に困っておられました。弊事務所へのご相談があったのはここからです。受任し病院を訪問したところ、カルテは残っていなかったものの、その病院の外来診療録に、16歳当時の日付で初めて糖尿病での受診をしていることが書かれていました。そこで、その記録のコピーを頂いて年金請求に臨むことになりました。 |
結果 | 2級での障害基礎年金支給決定。 |
寸評 | 糖尿病での障害年金の請求を行う場合、合併症による障害(下肢切断、網膜症、慢性腎不全等)で行うケースが殆どです。そして、初診日が相当に古いケースも多く、初診日の証明が困難になることがあります。カルテの法定の保存期間は5年間ですので、既に残っていないケースも少なくありません。ですが、残っていない場合でも、それ以外のもので証明ができることがあります。単にカルテが残っていないかだけでなく、受付簿やパソコン上の情報に入っていないかも確認するようにしましょう。ただ、今回は日付だけでなく、診療科(内科)と糖尿病での加療開始というところまで確認できる情報だったので問題ありませんでしたが、単に日付と診療科だけでは認められないこともあります(例えば内科の場合は、単なる風邪でも受診することがあり得ますので、初診日と認められるのは難しいでしょう)。障害年金において初診日は、非常に重要な意味を持ちます。初診日が相当に古くカルテが残っていない、当時の病院が廃院している等でお困りの方がいましたら、遠慮なくご相談頂きたいと思います。 |