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事例3:マルファン症候群【社会的治癒が認められた例】(30代・男性)

 疾患名  マルファン症候群
 年代・性別  30代・男性
 経過・症状  3歳の頃、テレビを観る際の距離が近いことから(目の異常を疑い)A病院を受診。検査の結果、マルファン症候群であることが判明。医師からは、この病気の特徴として大動脈壁が弱い為、高血圧にならないようにしなければならないこと、大動脈解離を起こしやすいこと等が説明された。その後は年1回の経過観察を続けたが、特に異常はなく、治療行為は行われなかった。この間、学校での活動に何ら制限はなく、体育の参加は勿論、小学校から高校まで部活動もやっていた。また、キャンプや修学旅行にも普通に参加するなど、何ら支障なく生活していた。高校卒業する直前に地元のB病院を受診したが、やはり著明な異常はなく、「何かしらの異常があった場合はこれを持って受診するように」と紹介状を渡されただけだった。卒業後は県外でいくつかの職を経験。全て力仕事であったが、何ら問題なく仕事を続けていた。プライベートでは友人とサイクリングに出たり、食事や旅行等も楽しむ等、充実した日々を送っていた。しかし、24歳の頃に、仕事後に激しい動悸が発生したことから、B病院の紹介状を持ってC病院を受診。胸部大動脈解離と診断された。その後、D病院でベントール手術(大動脈弁を切除し、大動脈基部を人工弁付き人工血管で再建する手術)を施行。以後はワーファリン(血液をサラサラにする薬)を服用し、また、食事制限等もありながらも、就労も含め日常生活を送っていたが、3年程前には背中の痛みをきっかけに人工血管を挿入した。現在はB病院に通院しているが、以前よりも疲れ易さを自覚しており、また、大動脈解離再発の可能性もあることから、出来るだけ温和な生活を心がけている。
 請求の過程  今回はベントール手術によって人工弁を装着していましたので、障害状態としては3級相当。しかし、マルファン症候群の初診日は3歳の頃にあることから、20歳前傷病による障害基礎年金を請求することになり、このままでは不支給となってしまいます(障害基礎年金には3級がない為)。そこで、社会的治癒を主張することにより、初診日を大動脈解離の初診日である24歳時(厚生年金期間中)で認めさせる必要がありました。手続きをするにあたり、3歳~24歳の間の写真(学芸会、運動会、部活動、修学旅行、友人との飲み会等)を探して頂きました。また、高校では沢山の資格を取得されていましたので、その免許証等も提示して頂くなど、社会的治癒を主張するには十分な資料を(ご依頼者様から)ご用意頂いたのですが、1つ大きな問題点がありました。それは、C病院で取得した受診状況等証明書にB病院からの紹介状(高校3年時に作成したもの)が添付されてあり、その中にメインテートという薬が処方されていることが書かれていたことでした。この薬は降圧剤として使用されますが、心不全に対して処方されることもあります。この薬を高校時代に処方されていることが治療行為とみなされれば、社会的治癒により厚生年金期間中に初診日を持ってくることは出来ません。そこで、現在の医師にこの薬についての見解(治療なのか予防なのか)を尋ねましたが、当時を知らないので何とも言えないとのことでした。しかし、ご本人様及びご家族にこの薬のことを尋ねましたが、全く覚えてないとのことであり、治療行為としてこの薬が使われていることはないと考えました(心臓に対する治療薬であれば、医師からその旨の説明がある筈であり、そのことを忘れることは考えられない為)。そこで、社会的治癒の主張を行際には、メインテートは降圧剤であり、この病気の特性(血管壁が脆い)上、降圧剤を処方されることがあるという資料も添付し、これは治療ではなく予防の範疇であり、社会的治癒の状態にあったことを否定する要素とはなり得ない旨の主張をしました。
 結果  3級での障害厚生年金の支給決定(5年の遡り支給あり)。
 寸評  今回も社会的治癒絡みの案件です。元々の初診日が20歳前であったことを考えると、社会的治癒が認められなければ絶対に障害年金は支給されないものでした。また、メインテートの処方を治療行為とみなすか予防の範疇とみなすかもとても大きな点でした。(メインテートについて)主治医に尋ねても明確な見解が聞けなかったこともあり、正直それ程自信があった訳では無かったのですが、無事に認められて心底ホッとしております。ただ、誤解のないようにして頂きたいのですが、単に運を天に任せるようなやり方をした訳ではありません。“請求の過程”でも書いた通り、社会的治癒を主張するにあたり、その当時の写真や資格の免許証等を提示しましたし、また、マルファン症候群で降圧剤を服用することがある件についても、インターネットで調べた資料を添付しています。特に社会的治癒絡みのような難解な案件の場合は、こういった下準備が非常に重要となります。
この方のアンケートは、コチラからご確認いただけます。
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